CM制作の企画プロデューサーをしていて、いつも漫画本を読みあさっていた私に制作本部長からアニメーションプロデューサーを引き受けてくれと懇願され、初めて担当させて頂いたのが『ドラえもん』でした。そして、藤子不二雄作品に『忍者ハットリくん』が加わり『オバケのQ太郎』、『プロゴルファー猿』、『パーマン』、と続いていきましたが、どの作品にも肝付さんの何ともクセのある声が響いていたのです。同時に、松本零士作品の『銀河鉄道999』を担当させて頂きましたが、ここでも肝付兼太さんが常に出番がある役でもない“車掌”役で出現してボソッと喋るセリフが妙に耳に残っていたのを記憶しています。私と肝付さんとの出逢い、お付合いはこの他にもありましたが、いつも人なつこい語り口で私達にお話ししてくれたのを覚えています。

 ある時、試写会の後、楽屋に我が娘とお邪魔した折、『ああ!荻さん!』とスネ夫の声で呼びかけられ、娘が『えっ!このオジさんがスネ夫なの?』と驚いていました。

 暫くお会い出来ていませんでしたが、劇団を運営され若い劇団員を育てていらっしゃるという噂話をお聞きしていました。

80歳とお聞きしましたが、まだまだお元気だと思っていましたので、現在、企画中の新アニメーション作品に是非ともご参加頂きたかったのに残念でなりません。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

        オッヂピクチャーズ  荻野 宏