今回の、突撃インタビューはルパンⅢ世のアニメ監督をされた「おおすみ正秋監督」に登場いただきました。

1934年(昭和9年)、兵庫県に生まれる。

兄とともに人形劇団「神戸人形芸術劇場」を主宰。人形劇の「ひとみ座」出身者の藤岡豊らが結成した東京ムービー(現トムス・エンタテインメント)に参加してからはアニメの演出を手がけるようになり、その初期に活躍した。

1971年(昭和46年)、後述する様々な問題のためにテレビアニメ『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』以降は東京ムービーと疎遠になる。日本テレビ動画の『アニメドキュメント ミュンヘンへの道』(1972年)、日本サンライズの『ラ・セーヌの星』(1975年)、『ろぼっ子ビートン』(1976年 – 1977年)、NHK『子鹿物語』(1983年)、劇場用アニメ映画『走れメロス』(1992年)なども手がけた。一方、『劇団飛行船』などで、「マスクプレイミュージカル」と称する着ぐるみミュージカルなども手がけている。

2003年(平成15年)、東京工科大学に新設された大学院メディア学研究科メディア学専攻(現・バイオ・情報メディア研究科メディアサイエンス専攻)修士課程(現・博士前期課程)に、漫画家で『ルパン三世』原作者のモンキー・パンチとともに入学、コンピューターアニメーションを研究する。2005年(平成18年)、同課程を修了し、同年、同大学の片柳研究所のクリエイティブアドバイザーに就任した。

出典:Wikipedia

 

  IMG00556-2  71NPkKF2OdL._UY200_UY200_[1]

荻野:

大変ご無沙汰をしております。いつ以来でしょうかね?東京工科大でセミナーを担当していた時代ですからかれこれ10数年になりますかね?


おおすみ監督:

そうですね、そのくらいになりますかね。


荻野:

おおすみ監督もご自身のHPで様々な方々のインタビューをされてUPされているようですが・・・
おおすみ監督:

そうなんですがね、もっとちゃんとやらなければいけないんですけど中々インタビューをする時間が取れなくて時間をあけてしまっているんですよ。
「おおすみ正秋の仕事場」http://osumi.air-nifty.com/


おおすみ監督:

昨年から本当の意味での「CG元年」の年に入りました。アニメーターを介入させる必要のない時代に本格突入です。そういう意味では手描き漫画をアニメ制作していた私としては寂しい気もしますが、これが時代ですね。


「蒼き鋼のアルペジオ」http://aokihagane.com/
「楽園追放」http://rakuen-tsuiho.com/ 等々・・・。CGアニメの本格化時代です。


荻野:

なるほど、しかし、私のようにマンガの手描きの良さを分かっている人間としては何か「人間味」が薄れて行くようで見ごたえがないと感じるのは私だけでしょうかね。

 

IMG00554-2


荻野:

おおすみ監督との接点は、モンキーパンチ先生で、皆さんもご存知の通り「ルパンⅢ世」の監督を務められていたおおすみ監督とのかかわりがあり、私が東京ムービーのプロデューサーとよく吉祥寺で飲んでいたときにモンキーパンチ先生もよく同席されていて、意気投合し仲良くさせていただいていました。その後、東京工科大学で縁あってプロデューサーのカリキュラムを私が担当するのと同時に、モンキーパンチ先生と、おおすみ監督のカリキュラムもありその教壇に立った時がおおすみ監督との出会いでしたよね?

おおすみ監督:

そうでしたかね?随分前のことですからね。東京工科大学からはコンピューターグラフィックスでカリキュラムを担当してくれないか?と要請があったんですよ。
その頃、モンキーパンチ先生とはこれからの時代は立体映画の時代が来るので立体映画で論文が書けるくらいのところまで研究してみませんか?と相談していたんですよ。

荻野:

東京工科大学では何年くらい教えられていたんですか?
おおすみ監督:

3年くらいですかね?


荻野:

アニメ監督をされるきっかけはどのようなところからですか?


おおすみ監督:

最初は、人形劇団を立ち上げてまして、そこで、演出の仕事をしていました。こん       なことを言っては失礼になるのですが、その劇団を維持するためにアニメ制作をアルバイ ト感覚でやっていました。それが本業になっていったと言うのが経緯ですね。


荻野:

監督はアニメだけでなく、実写も手がけられていたようですが作り方は当然違うんですよね。
おおすみ監督:勿論、細かなところではまったく違うのですが自分の考え方を具現化していくという意味では同じなのかもしれません。様々な仕事(経験)をさせてもらいましたので、どんなテーマにも対応が出来るようになりましたね・・・。笑
荻野:

アニメにとりれて来ている手法というのはおおすみ監督独自の手法なのですか?


おおすみ監督:

私は実写映画手法を積極的に取り入れてきました。特に小津安二郎監督の作品からは色々と参考にさせていただきましたよ。そのころは、まだ、映画とアニメ制作はまったく異質の作り方でしたから何とか映画の手法をアニメに取り入れられないかと研究していました。例えば時間経過を表現するのに、国宝級の「壷」のカットをポーンと入れることで数秒の「間」が空くわけです。その間が見ている人達に「空想」の間になるわけで考える時間が出来ることで深さが生まれるんですよ。
小津監督は、儲かる映画は作れなかったと言われていますが、時代にマッチングしていなかっただけで技術、テクニックはすばらしいものがありました。私は尊敬しています。


荻野:

なるほど、そういうことをアニメにも取り入れることでアニメにも深さが生まれるんですね。

おおすみ監督:

当時のTV業界はフジTVを筆頭にアニメがビジネスにしやすかったのでとても積極的でした。しかし、手描きのアニメは縦割りの世界といいますか、大変な労働集約型作業でした。例えば、レタッチが終了しないと色が塗れない、色を塗れない限りは撮影ができない。全部縦割りで膨大な人達が必要なんです。それだけ、コストと時間がかかっていた時代でした。今は、CGにより並行して作業が進められますので大幅な人件費と作業時間の短縮につながっていますね。

おおすみ監督:

制作に対するテーマは「アニメ演出を極める」という壮大なテーマを持って制作していましたから「巨人の星」のように1球投げるのに1話かけてもあきさせないような演出を色々と考えていましたからね。そいう意味では、様々な手法を取り入れることで作品の深さと視聴者を一緒に考えさせ、想像させる手法を一生懸命考えていました。


荻野:

なるほど、アニメの進化論がわかるようなお話ですね。


おおすみ監督:

昔は、映画を見終わった後に議論がありました。未来を見据えてその映画の批判と議論がありましたよ。それぞれに個人の見解がありました。これは、私の私見ですが、オタクとファンの違いというのは、オタクには批判がないんです。全てを受け入れるんですね。しかし、ファンには否定も考え方の違いも在るんです。だから、求められるものもシビアになってくるんですね。我々はそのファンに支持されるものを作っていかなくてはならないので大変なんですよ。ま、それが与えられた制作の使命なんでしょうね。


荻野:

おっしゃるとおりですね、本当に私もそう思いますね。

荻野:

デジタルペンで最初に書き始めたのは確か、モンキーパンチ先生でしたよね。モンキーパンチ先生のエピソードを少し、教えてください。

おおすみ監督:

私が漫画家として尊敬しているのはモンキーパンチ先生と鳥山あきら先生です。その中でもモンキーパンチ先生とは長い付き合いをしていますが、『ルパンⅢ世』初期の作品を手がけさせて頂きました。普段お付き合いしているモンキーパンチ先生とマンガを描いているモンキーパンチ先生はいつも、別人に見えるんですよ。そこで、一度だけ真剣に聴いたことが在るんです。モンキーパンチ先生がマンガを描いているときは、別人各なっていませんか?と・・・。そうしたら、「そうなんですよ、いつの間にかモンキーパンチというキャラクターになってルパンを描いてるんですよ」という答えでした。やはり、そうだったのかと思いましたね。役者と言うわけではないのでしょうが、自然にルパンを描く、モンキーパンチという別人格になりきっているんですね、自然に・・・。
荻野:

なるほど、そこまで自分の世界にのめり込んで描いていらっしゃると言うことですね。


おおすみ監督

時代も変わり、私は若い人達に色々と教えられました。私から見れば最近のアニメの傾向は全て同じように見えていましたが、若い人たちに言わせれば明確な違いや傾向をちゃんと認識していてどの作品も特徴と違いがあると言うんですね。ですから私は、こう考えるんですよ。「傾向に逆らって描くのが漫画家である」しかし、「コンテンツは時代背景や流行を意識しなくてはならない」この両方を見極めて制作するのが大変難しいんですね。

荻野:

なるほど、それがおおすみ監督のアニメ制作の哲学と言ってもいいんでしょうね。監督として作品をヒットさせる要素と言うかキーワードはどんなところですかね?

おおすみ監督:

大変難しい質問ですが、私は「見新しさとおっちょこちょい感覚」そして「作品に対する強い意志」だと思っています。最後は、自分の責任でヒットしなければ全責任を自分がかぶる。この強い意志でしょうかね。それがなければ、新しいことにチャレンジはできませんよ。


荻野:

なるほど、劇団、実写、CGアニメ等の様々な経験をされているがゆえに言える言葉なんですね。


おおすみ監督:

今の、制作現場はサラリーマン化してきています。1本の作品に全責任を自分が責任をとればいいくらいの感覚はもう今の時代では通用しなくなっているんですかね?少し、寂しい気がするのですがね。これも時代なんでしょうね。


荻野:

そうかも知れませんね、確かにそれが時代の流れなのかもしれません。おおすみ監督には生涯、従来の強い意志で制作を続けてほしいですね。まだまだ、現役で一緒に新しい作品を生み出すお手伝いをさせていただきますので、是非、次回作品は我々と新作に挑戦させてください。
本日は、お忙しい中ありがとうございました。